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2026.07.09

11th International Outdoor Education Research Conference(IOERC):
国際野外教育研究学会 第11回大会 参加報告!

報告:村井伸二(Shin)

この度、国際野外教育研究学会(IOERC)の第11回大会がノルウェーのオスロで開催され、参加・発表してきましたのでご報告します。

IOERC(国際野外教育研究学会)とは?

IOERCは2~3年に一度、有志のボランティアによって開催される国際学会です。世界中の野外教育に関わる研究者や専門家が集まり、研究成果の共有やネットワーク構築を行います。野外教育を通じて、社会をより持続可能なものにするためにどう貢献できるかを模索する、教育的に非常に有意義な国際組織です。

前回の2年前は東京大会(TAP Newsでの過去の報告をご覧ください)でしたが、今回の舞台はオスロ市内から電車で30分ほどの場所にあるSognsvann(ソグンスヴァン)駅の「Norwegian School of Sport Sciences(ノルウェー体育大学)」でした。すぐそばには美しいSongsvann湖があり、一般の人も泳いだり日光浴を楽しんだりしている、本当に自然に恵まれた素晴らしい環境でした。

どんな研究発表があるの?

学会には世界中から350人の野外教育者や研究者が集まり、6月22日(月)~6月26日(金)の期間中に228件もの研究・実践発表が行われました。まさに毎日が研究発表尽くしです。発表は以下のような多様なカテゴリーに分かれていました。

・School-based nature learning(学校における自然学習)
・Cultural perspectives(文化的視点)
・Leadership(リーダーシップ)
・Pedagogy(教授法)
・Curriculum(カリキュラム)
・Health/Well-being(健康/ウェルビーイング)
・Children and nature(子どもと自然)
・“More than human”(モア・ザン・ヒューマン)
 ※人間を「生命の網(Web of Life)の一部」として位置づけ直す、環境人文学やマルチスピーシーズ人類学の概念
・Exploring nature and diverse groups(自然や多様なグループの探求)
・Towards sustainability(持続可能性に向けて)
・Digitalisation(デジタル化)
・Culture of friluftsliv(フリルフスリフの文化)
 ※アウトドア生活や野外での暮らしを意味し、ノルウェーをはじめスカンジナビア諸国に深く浸透している野外生活の概念
・Research/method(研究/方法)
・Assessment (in the wild)(野外での評価)
・IOERC future and discussions(学会の未来に向けた討論)

これほど多彩なテーマのなかで、興味深い発表が次々となされました。圧倒されたのは、参加者のリサーチの質の高さと卓越したプレゼン力。さらに、発表が終わると即座に怒涛の質疑応答が始まります(日本の学会でありがちな、お互いに様子を見合う「間」が一切ありません!)。

Shinは何しにいったの?

今回は、神田外語大学の江川潤先生に同行させていただき、共同研究として私Shinも英語での発表に挑戦してきました!

初めての国際学会、初めての英語発表。「まあ、なんとかなるか!」と挑んだものの、発表中の脳内神経経路は見たこともないスピードでフル回転していたと思います(笑)。発表タイトルは以下の通り、かなり大きなものを掲げました。

"Reconstructive Japanese Outdoor Education integrating local philosophies and the BEVI in place-based winter field work" (地域固有の哲学とBEVIを統合した、地域密着型冬季野外実習における日本野外教育の再構築)

内容は、TAPセンターで行っている「弟子屈冬季演習」の実践と、そこから得られた量・質両面での調査結果です。 あわせて、これからの野外教育を考えていく上で、アイヌ文化のような「地域固有の哲学」や、理論としての「場(Ba)の教育」、和辻哲郎の「風土論」を活用することの重要性を提示しました。さらに、日本特有の精神性である「神社(神道)」に焦点を当てることで、広井良典氏の言う「個人・自然・コミュニティ」が再びつながっていくのではないか、と提案しました。

おまけとして、『千と千尋の神隠し』『君の名は。』『ゴールデンカムイ』といったポップカルチャーの視点も紐づけて、「アニメから学ぶ野外教育」という海外受けしそうな要素も盛り込んでみました。おかげで大きな関心を持ってもらえましたし、今後の課題や修正点もクリアに見えてきました。

発表後には数名が声をかけてくれて、温かいアドバイスをもらったり、「日本に行ったことがあるよ!」「今度日本の学会に行くから連絡するね!」と交流が生まれたりしました。できる・できないの壁を気にする前に、まずは一歩を踏み出して発信してみることの大切さを、身をもって実感しました。とにかく学会ですが参加者はみな楽しむこと、人とつながることを忘れないのです。

その他に何か感じたことは?

何よりも、ノルウェーの素晴らしい文化に直接触れられたことです。6月末のオスロは白夜で、夜の11時を過ぎてもまだ外が明るいのです。「明るいのに眠くなる」という不思議な感覚を体験しました。また、市内は完璧なキャッシュレス社会。交通機関や買い物など、すべてのライフラインがアプリで完結する徹底したデジタル化が進んでいました。

その一方で、とにかく現地の皆さんは朝から街を走っているのです(私もジョギングシューズを持参して毎朝走りました!)。海や湖では泳ぎ、サウナを愛する。自然と背伸びせずに共生していて、社会全体から「健康」が溢れ出ているように感じました。ムンク美術館で「生のムンクの叫び(社会教育と生涯学習の一環として。。。)」を鑑賞するなど、文化や生活の豊かさにも刺激を受けました。

このような貴重な機会をくださったTAPセンターの仲間や大学には、本当に感謝しています。さあ、この体験と学びをどのようにTAPへ還元し、恩返しできるか。ここからまた、がんばります!

Takk! Shin


王宮周りを朝走り!

世界の研究仲間です。久々に会えた人たちも。


自然に恵まれた湖畔

アウトドア講習、野草を食べよう!


ポスター発表!

口頭発表、あー緊張した!

関連資料

The 11th International Outdoor Education Research Conference
https://www.nih.no/english/about/news-events/events/2026/ioerc/

Academic Program Schedule
https://www.nih.no/english/about/news-events/events/2026/ioerc/june-23rd_academic-program-ioerc11_updated.pdf

The book of abstract
https://www.nih.no/english/about/news-events/events/2026/ioerc/book-of-abstracts-v3-w-cover.pdf

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