ColumnポストコロナとTAP

2020.07.03

ポストコロナとTAP(第2回)

工藤 亘

TAPスタッフが短期集中コラムとしてコロナ禍の教育の実情と課題について提言します。

コロナ禍における生徒指導上の問題点

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、世界中で699万人以上の感染が確認され、46万人以上が命を落としています。(6月23日時点:WHO状況レポートより)
さらにコロナ禍は世界中の子どもたちに影響を及ぼしています。UNESCOによると全国的休校措置をとっている国は156ヶ国であり、12億人以上の子どもが通常の学校教育の機会を閉ざされています。(5月18日現在)多くの国ではオンライン授業を行っていますが、長引く休校は、社会階層間格差を拡大させています。そのような中で日本ユネスコ協会連盟は、教育支援「世界寺子屋運動」を実施しているアジアの4ヵ国(アフガニスタン、カンボジア、ネパール、ミャンマー)で新型コロナウィルス対策の支援を5月から開始しています。

本コラムは、コロナ禍における生徒指導上の問題点等を取り上げます。

*教育現場の声
視点を国内に移し、再開されつつある幼稚園・保育園・小学校・児童養護施設で働いている方の声を聴くことができたので抜粋して紹介します。(一部の事例であり、一般化できるものではないことを断っておきます)
<子ども達の様子>
・分散登校が始まったことで、友達と会えて生き生きとしている
・分散登校で少人数のため、不登校だった子どもが登校できている
・少人数のため、学習障害を含む発達障害の可能性がある子どもは落ち着いていた
*気になる点
・家庭での学習状況で学力に差がみられる  ・運動不足による体力低下
・分散登校で少人数のため、委縮したりプレッシャーを感じている子もいる
・ソーシャルディスタンスの確保のため、友達づくりに消極的になっている
・頭痛や腹痛を訴える子どもが多い気がする
・学校行事が中止(延期)となり、子ども達のモチベーションが低下している
・友達や異年齢の交流などができずにいる
*生活面
・1年生は基本的な学校での生活習慣が身につきにくい
・一部だが昼夜逆転している子どもがいる
・児童養護施設から子ども達は、一度も施設外に行くことはなくストレスがあった
・新中学生・新高校生は新しい環境や学校生活が始まるはずだったが挫かれ、不安や苛立ちで、夜間徘徊・夜間飛び出しがあった(児童養護施設)
・時間があるからこそ、色々と考える思春期の一部の子ども達はより不安定だった
*学習面
・授業時間の短縮などで詰め込み式となり、学習の遅れている子どもには厳しい
・授業時間の短縮などで考える時間が減り、思考力を養うことが困難
・休校期間中の学習内容の定着ができていない(個人差も大きい)
・転入出をした子どもへの学習対応が困難
・年間指導計画の再編成に苦慮している(日々の授業対応で間に合っていない)
<教員の様子>
・教員同士、声を掛け合い励まし合っている ・管理職のおかげで常に明るくしている
・学童や学校での児童預かりで、消毒作業が職員の大きな負担となっている
・常にバタバタしていて、放課後の職員室には疲労感が漂っている
・必死に授業準備を行っている ・今後の対応等で管理職の負担が重く、心配している
<保護者からの声>
・1年生ということもあり保護者はかなり心配している・食べ物に関して敏感な家庭がある
・休園した際に、数名の保護者から「仕事ができません」と言われた
・匿名で「授業が遅れているのに運動会なんてやっている場合か」とクレームがあった
・「学習量が少ない、学習量が多い、公務員でお金をもらっているくせに学校はお便りだけ出して終わりか!」等、多くの保護者から電話があった
・休校中の課題に〇付けをし、スタンプだけ押して返却したところ、PTAから「学校は何も見てくれていない」という意見がでた。その後、課題を再回収しコメントを付けて返却した

<おわりに一言>
近所の小学校で集団登校が再開し、上級生が下級生たちの安全を確保しながら登校していました。久しぶりにこれまでは当たり前だった光景に心が癒されました。しかし「密になっちゃダメ!」とマスクをしながら言う上級生の声が印象的でした。この様なことを言わずに、好きな距離間で、肩を組み合い、伸び伸びと暮らせる日が来ることを心待ちにしています。子ども達が子どもらしさを存分に発揮できる日はいつ来るのか?

制限や禁止事項が日常生活や学校生活で増えたことによる影響は、子どもや保護者、教員を含む我々大人にもストレスや不安を与えています。しかし、子ども達の夢や希望、自己実現、人間的な成長に影響を与える者として、指導と支導をしくことが大切だと改めて実感しています。

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