ColumnTAPコラム

2021.07.28

旅から学ぶアドベンチャーとは?遺伝子との関係性について考える。

村井 伸二

TAPセンターの指導スタッフによるコラムを毎月掲載していきます。

みなさんはリスクを負うタイプの人ですか? それとも安定したいタイプの人でしょうか? もちろんアドベンチャープログラム(以下:AP)を実践している人はリスクを恐れず何事にもチャレンジするので「ハイ!」と答えるかと思います。しかし、これがもしも遺伝子レベルで決まっているとしたらどうでしょうか?私はAPを提供しておきながら結構、安定志向な人間のようです。実はこれが生まれもって決まっているとしたら。。。

夏井睦氏の「炭水化物が人類を滅ぼす【最終回答編】」ではある遺伝子について紹介されています。脳内において神経伝達物質であるドーパミンが分泌されると側坐核(そくざかく)という部分が刺激されて「快感」を感じます。このドーパミンには受容体があり、「ドーパミン受容体はさまざまな組織に存在し、ヒトでは5種類の受容体が確認されている(D1~D5)。このうち、DRD4は、D4受容体の形成に関わる遺伝子で、DRD4-7R遺伝子はDRD4の変異型であり、全人口の2割がこの変異遺伝子を持っていることが分かっている。そして、DRD4-7Rの別名は「冒険家遺伝子」である。」と述べられています。

詳しくお知りになりたい方はぜひ、本を読んでいただいたら良いかと思います。とにかく「冒険家遺伝子」なんて言われてしまうと「ムム」と思いませんか。この遺伝子を持っている人は「新しいもの好き」であって、リスクを惜しまず様々な新しいものにチャレンジするそうです。また、英語では「Wanderlust gene」(旅行癖、旅行好き遺伝子とでも訳せるのでしょうか)とも言われています。この世にあるもの、知っているものの多くは、この遺伝子を持った先人たちが、チャレンジという「旅」をし続けてくれたことによって存在するのではないかと考えてしまいます。コロンブスやキャプテン・クックのように、新大陸を目指して突き進んでいった人がいました。また、私の大変尊敬してやまない冒険家の植村直己さんや写真家の星野道夫さんなども、この遺伝子を持っていたのではないかと勝手に想像してワクワクしてしまいます。食べ物に関しても人類で初めて納豆を口にした人がいて、キウイフルーツを生で皮ごとかじってくれた人がいたんですね。そのお陰で、我々が普通に美味しいといって食べれるのでしょう(反対に他のものを食べて毒に当たり、亡くなった人もいるはずです)。現在でいうとGAFA、スタートアップなどの人たちなのでしょうか。そう考えると、冒険家遺伝子を持っている人が社会に大きく貢献している可能性があると思います。私は脳神経科学者でも遺伝学者でもないので勝手な想像でお話しをさせていただいていますが。

「冒険家遺伝子」なんて言うと、こう思う方がいると予想できます。「アドベンチャーって2割の特別な人のためであって、他の8割の人にとってアドベンチャーは関係ないのでは?」って。そんなことはないと、私の「旅」から得た学びとしてちょっとお話しさせてください。
私は若い頃、自分探しのためにニュージーランドにワーキングホリデー制度を使って一人で「旅」をしていました。数か月が経ち、何をしていこうかと路頭に迷った時、ある人・・・の伝手で南島にある高校を尋ねに行きます。その学校ではAPを授業に取り入れていました。紹介してもらった人とは違う人でしたが、スクールカウンセラーで教員のエリック(多分今考えるとエリックは冒険家遺伝子を持っている。エベレストなどにも登っていた。)というAPをアメリカからニュージーランドに持ち帰った方と出会うことができました(結構な奇跡でした)。私はAPが何だかも良く分からずに、とにかく興味だけを示すと、エリックの授業に出させてもらうことになりました。まずはカウンセリングです。一人の男子生徒が「俺をチビッって呼ぶやつがいる」。エリックは「ではその子を呼んできて」。すると女子生徒が現れ「クラスがめちゃくちゃだ」と伝えました。エリックは「分かった」と言うと、そのクラス担任の先生に「次の授業は数学だけど僕にくれない?」と交渉します。担任の先生は「いいわよ!」とその場で承諾。「えっ何! こんなのありか?」と私が通っていた学校と比較して文化の違いを感じました。エリックは授業でバッファー(刀)を使ったタグ(鬼ごっこ)を始めました。しかし、何だかクラスの雰囲気がとても良くなかった気がします(英語が分からずとも感じました)。クラスの影のリーダーのような女子生徒が鋭い目つきで人を誘導し、腕を組んで立っている(「怖っ」て感じでした)。他のみんなはふざけながらバッファーでバシバシとお互いを叩いている。私は内心「早く止めたら!」と思っていましたが、エリックは「ふむふむ」言いながら、生徒を観察し続けてタグをやめません。その後、しばらくしてエリックは「はい、ではみんな教室に戻って!」とみんなを椅子に座らせ、「今、どんな気持ちだった?」と全員の生徒の気持ちを聞いて黒板に書きだしました(感情のリフレクション)。「悲しい」、「辛い」、「寂しい」などネガティブなことばかり。エリックは生徒たちに対して体験的に現状を理解させ、ここからまた新たなクラスを作りあげようとしていたのです。私の衝撃は計り知れないものでした。「こんな学校があったら私の青春期はもっと。。。」とその後、良いか悪いかこの旅のお陰でアドベンチャーの世界に足を踏み入れてしまいました(笑)。

前述しましたが、私は多分、いや絶対と言っていいほど「冒険家遺伝子」を持っていないと思います(調べていませんが)。けれども、旅は私のような“Comfort-zone”が小さい人間ですら、チャレンジして超えることでAPに出会わせてくれたのですから。この経験によって冒険家遺伝子を持たずとも、自分なりにチャレンジすることで「学び」や「成長」が得られたと思うのです。
また、この遺伝子を持たない8割の人たちにおいても、自分がこんなことやってみたい、自分はこれにチャレンジしてみたい、そんなことを支援できるのがAPの意義であり、価値なのかなと私は思っています。
読者のみなさん、「冒険家遺伝子」を持っていても持っていなくとも、今はコロナ禍で難しいかもしれませんが、いつか「旅」に出て新たな自分を探してみてはどうでしょうか。その旅から予期せぬ出会いと発見があるかもしれません。そして、旅はちょっと。。。という方たちは(そうでなくても)TAPセンターでは全ての方(「冒険家遺伝子」を持つ持たない10割)にみなさんなりのアドベンチャーに挑戦できる場を提供していきたいと思っています。
さあ、冒険家遺伝子の有無に関係なく、自分なりのトラベラー、そしてリスクテイカーになってみてはいかがでしょうか?

引用文献・参考文献(写真を含む)

夏井睦, 2017年, 『炭水化物が人生を滅ぼす【最終回答編】植物vsヒトの全人類史』, 光文社, p184-185

What is DRD4-7R, the wanderlust gene linked with excitement and adventure?,
https://www.verdict.co.uk/drd4-7r-wanderlust-gene/?utm_source=Army%20Technology&utm_medium=website&utm_campaign=Must%20Read&utm_content=Image , (2021年7月27日閲覧)

The ‘wanderlust gene’ – is it real and do you have it?,
https://www.telegraph.co.uk/travel/travel-truths/the-wanderlust-gene-is-it-real-and-do-you-have-it/, (2021年7月27日閲覧)

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