ColumnTAPコラム

2021.12.22

「四字熟語7題―TAPファシリテーション別解」

大山 剛

TAPセンターの指導スタッフによるコラムを毎月掲載していきます。

今月は、担当者がこれまでのプログラム実施の中で感じたことや考えたことを四字熟語に置き替えて記述してみました。個人のバイアスがそれなりにかかっていることを予めお伝えしておきます。異論もあると思いますが、どうぞご笑納ください。(以下の斜線体は引用表記です)

1.「初志貫徹」初めに心に決めた志を最後まで貫き通すこと。
・TAPプログラムでは「目標設定」と同義語です。プログラムのスタート以前に「このグループは何を目指しているのか、各個人の目標は何であるのか」と云う設定が大切にされます。この目標設定がブレてしまうと、活動中も「何のための、誰のためのプログラムなのか?」と、TAPを実施している意味がかなりぼやけたファシリテーション(支援)に陥ります。当然ですがプログラムをスタートする場合、そのグループのニーズアセスメントを丁寧に行い、その目的をプログラムの根幹に据えている意識が必要だと思います。

2.「風林火山」風のように素早く動き、林のように静かに構え、火のような激しい勢いで侵略して、山のようにどっしり動かない意。転じて、物事の対処の仕方にもいう。時機や情勢などに応じた動き方。
・TAPでは、熟練した(あるいは旬の)ファシリテーターがその経験と観察力をもとにして自然と身につけている「高度のファシリテーション力が発現した時の総称」を言います。次の対応をどのようにしたら良いのかを決定するためには、まずグループや参加者の行動を把握して、グループ全体が見えるかどうかに関わってきます。そして実際にはこれがなかなか難しいところですし、たとえ様子が見えたとしても、次の一手を決めるのがこれまた悩ましい。けれど、これができる時のファシリテーターは多分、スポーツでいうところの「ゾーンzone」に入っている状態で、憧れます。

3-1.「疑心暗鬼」疑いの心があると、なんでもないことでも怖いと思ったり、疑わしく感じることのたとえ。
3-2.「二律背反」二つの相反する命題や推論が、同じだけの合理性・妥当性をもっていること。また、自己矛盾に陥ること。
・TAPではハイチャレンジコースのグループワークとして、チャレンジャーが命綱をつけて高所に登る際、地上ではチームの仲間に自分の命綱をあずけます。その場合、グループの準備としてTAPの基本理念の一つであるFVC(Full Value Contract)をベースにしたチームづくりの手順を経て、各々が高所のエレメントに挑戦します。ですが、そこまでのチームづくりに手間取ると、この段階でのチャレンジャーの心はチームに対する安全保障面での疑念は解消しません。本当はそんなチームづくり自体がTAPファシリテーションとして問題です。が、これまで一例もなかったと云うわけでもありません。自身の反省材料です。
・しかし、多くのハイチャレンジの場面では、命綱を握る相手への信頼度は体験を重ねる毎に安心感を増していきます。そうなると、支えてくれるチームを受け入れることによって、チャレンジャーの意識はその時初めて、自らの内面へと向かいます、それも二つの方向から。心の中の声はこんな感じですかね。「どうしよう、怖い。でも下で仲間も応援してくれる。だけど本当はイヤだ、足だって震えてるし、だけどやるって言っちゃった。頑張れ俺、頑張れ自分、、、だけど、だけど、厳しいなぁ、難しいなぁ、なんか風も強くなってる気がする、、、、」
ですから、チーム力に支えられてこその自分との正直な対話、それがTAPに許された贅沢な時間の過ごし方です。

4.「試行錯誤」新しい物事をするとき、試みと失敗を繰り返しながら次第に見通しを立てて、解決策や適切な方法を見いだしていくこと。
・TAPでは誤解されやすい四字熟語です。特にファシリテーションの勉強を始めた人や、初めてグループを担当するインターン学生のTAP実践の場に同席した時、もしかしたらこの人は、チャレンジの意味を誤って認識したままに使っているのではないかと心配な場面がたまに見られます。曰く「課題が達成できない時は何度でも挑戦できます、エラーはOK、TAPではみなさんのエラーを受け入れます」と。もちろんグループの雰囲気を少しでも前向きにすることや、個々の参加者のモチベーションを上げることは必要不可欠です。けれども安易なトライアルを重ねた結果、本来なら一回一回のチャレンジに対するそのグループならではの「心地よい緊張感や全集中」を阻害させてしまう場合もあります。本来TAPでは、問題解決の際に何度でも「チャレンジすること・チャレンジを選ぶこと」を大切にしています。ですがその「試行」は、前述のFVC(Full Value Contract)を基本にして、その時のその人たちの精一杯のチームパフォーマンスを発揮したチャレンジを求めています。

5.「虎視眈眈」強い者が機会をねらって形勢をうかがっているさま。
・TAPの活動はコミュニケーションを大切にします。特に課題解決アクティビティでは、提案する力が大切ですし、その学年に応じて育ってほしい部分です。とは言っても中学生や高校生ぐらいの年齢は、自分の発言が周りにどのように受け取られるかをとても気にする時代です。その結果として、本当は言いたいことがあるのに「いつ、どんなタイミングで、どれぐらいに真剣な表情で」と、相手に伝えることを迷っている生徒がたくさんいます。決して強い者が機会を狙っているのではないのですが、言い出すタイミングを迷っています。けれど、みんなの前で意見を言えた今日の自分は、昨日の自分より一歩だけ前に進んだ強い自分かも知れません。私たちファシリテーターは「Cゾーン(comfort zone)から一歩踏み出してみよう」とする働きかけを大事にしていますから、生徒たちの虎視眈眈は大歓迎で、その気持ちに気づき認められる自分たちでありたいです。

6.「温故知新」前に学んだことや昔の事柄をもう一度調べたり考えたりして、新たな道理や知識を見出して自分のものとすること。古いものをたずね求めて新しい事柄を知る意から。
・TAPは学内の児童・生徒・学生に複数回のプログラムを提供する機会があるので、こんな感想を正直に話してくれます。アクティビティを提示した途端、「それ、やったことあるし」とだるそうに。その言葉に多くのファシリテーターがリアクションに詰まりますが、同時にその一言を待っていた自分たちもいます。「そうかぁ、やったことあるんだぁ」と受けとめつつ、年齢や反応に応じて、その消極的な態度をどのような方法や声かけで、主体的、積極的な行動に変容させていくか、ファシリテーションの正念場、見せ所、彼らの成長を促せるビッグチャンスですから静かに燃えます。その生徒たちが「もう知ってるから興味ない」と、単純な結論だけで終わらせないのがTAPです。「えっ、アイツにこんなアイデアが?、イヤイヤこんな方法もできるんだ、スッゲェー」と、過去の自分の体験だけにとどまらず、今の自分と今の仲間の力量に、気付くこと、試すこと、成し遂げること、同じ課題を全く別のアプローチから楽しみながら、その別解の面白さを存分に味わって、新しい発見につなげたいと願います。

7.「体験学習」実際的な活動体験を通して学ぶことを狙った学習形態。社会心理学者クルト・レヴィンに始まる集団の相互作用を学習者自身が体験して学ぶヒューマンスキル開発の訓練法が元になっている(Wikipedia)
・TAPは体験学習をアドベンチャープログラムと捉えて進みます。
・アドベンチャープログラムは「身体性をともなう学び」であることを大切にしています。
・アドベンチャープログラムは1960年代のアメリカで提案された教育的アプローチの手法で「体験学習理論」をベースにしたプログラムです。
・アドベンチャープログラムは、目標に応じて活動内容を指導者各自がデザインするプログラムです。
・アドベンチャープログラムは、対象生徒や目的、実施時間を考慮しながら最適のプログラムを計画します。
・アドベンチャープログラムは参考資料も限られていますが、指導者の裁量範囲の拡がるプログラムです。
・リマインド(6月コラムより)
Tamagawa Adventure Programの目的はより幅広い分野に広がっています。
ADVENTUREの場は野外だけにあるのではなく、運動領域だけで展開するものではありません。日常生活の全ての中にある「アドベンチヤーに気がつくこと、それぞれの課題に焦点を当てること、個々と集団の目標達成のために挑戦すること」を願っています。これからもTAPをよろしくお願いします。

それではみなさま、本年もたくさんの人にたくさんの場所でお世話になりました。2022年もどうぞ素敵な時間を大切な仲間とお過ごしください。

たくさんの感謝を込めて。

出典

四字熟語一覧-goo辞書 https://dictionary.goo.ne.jp/idiom/
熟語解説 - 三省堂 新明解四字熟語辞典、学研 四字熟語辞典、小学館 大辞泉、

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