ColumnTAPコラム
日ごとに暖かくなり、すっかり春らしい陽気となりました。
白山 明秀
TAPセンターの指導スタッフによるコラムを毎月掲載していきます。
学内の卒業式や修了式も穏やかな天気のなか無事に実施され、晴れやかな笑顔と希望に満ちた表情をたくさん見かけることができました。巣立っていった生徒や学生たちの学びの発表の場では、沢山の学びと感謝を感じることができました。卒業していく学生たちには、コロナ状況が芳しくない社会情勢のなか、人生の荒波に負けない気概と信念を持ち、夢と希望を抱いて頑張ってほしいと願っています。
アドベンチャー教育の創始者でもあるクルト・ハーンが創設した「Outward Bound School→OBS」の考え方にはとても影響を受けました。20数年前、長野のOBSJapanにお邪魔して話を伺い、自然を相手に心の鍛錬の場を提供するスタッフの逞しさと優しさなどを感じたことを思いだします。
「Outward Bound」とは「外航に行く」と直訳されますが、OBSが考える「24時間前に出港の準備ができた船が掲げる旗」という原義の使い方が好きです。大学生活は社会に出て行く最後の砦と考えており、学生である学びの時間にどんな準備をするのかは大事だと思っています。専門性を高める時間と人間力を高める時間、この2つの時間の使い方を考え、人生の航海に出て行く準備を玉川の丘で涵養して欲しいと思います。
クルト・ハーンの言葉に「教育の最重要課題は次のような特質を育てることである、旺盛な好奇心、不屈の闘志、粘り強さ、冷静な自制心、そして何よりも他人を思いやる心である」があります。そしてこの言葉のなかの「何よりも他人を思いやる心である」が教育現場のなかでは本当に大事だと認識してきました。20年ほど前に学術研究所を退官する作家の赤川次郎さんの最終講義の演目が「思いやる心を育てる」であったように記憶しています。その講演の中で「思いやる心は想像力の養成が必要であり、そのためには良書をたくさん読むことが必要である」と仰っていました。これは國芳先生が文学部を創設にあたり考えていたことと重なります。「思いやる心」は、高め合う仲間との経験と良書での知識の融合をもって行動することで、生きる力となるのかもしれません。
TAPセンターは20周年の記念事業も無事に終わり、あらたな希望と夢を持って進んで行きます。それぞれのデビジョンでの学びの場の提供をはじめ、より複雑化している社会への貢献を考え、研究と実践の両輪で進んで行くことでしょう。
私ごとですが、この3月を持ってTAPセンターを退職します。内外にわたり、また長きにわたり支援してくださった方々に感謝を申し上げます。
最後に「人生の最も苦しい いやな 辛い 損な場面を 真っ先きに微笑みを以って担当せよ」、この玉川モットーはいつも心の支えになりました。これからの人生でもこの言葉とアドベンチャーマインドを大切にして人生を豊かにしていきたいと思います。
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