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2023.01.19

教育実践学会共催シンポジウム
2022年12月3日開催

2022年12月3日、玉川大学TAPセンターと玉川大学教師教育リサーチセンターの共催で教育実践学会30 回大会が開催され、「令和の日本型学校教育を視野に入れた教員の養成・採用・研修の動向」をテーマにした基調講演と公開シンポジウムが、本学大学教育棟2014にて開催されました。後援として東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、相模原市、町田市、稲城市の各教育委員会から、また協賛として(株)大学教育出版、協同出版(株)、(株)北樹出版、大日本図書(株)、日本語検定委員会、(株)時事通信出版局、本学出版部の各社よりご協力いただきました。
当日は入館口での体温測定や会場での換気・アルコール消毒など感染対策を取った上で約100名以上の方々にご参加いただき、午前の部は「自由研究発表」「ポスター発表」「TAP展示(Tamagawa Adventure Program)」、午後の部は「基調講演」「公開シンポジウム」がおこなわれ、各会場で論議や質疑応答が交わされ、充実した内容となりました。

挨拶

小原 芳明先生(玉川大学学長 玉川学園学園長 教育実践学会顧問)

基調講演に先立ち、小原芳明先生からの挨拶は、後援の各教育委員会と協賛の各企業団体へ感謝と来場者へ歓迎の言葉とともに、本学会での基調講演と公開シンポジウムのテーマが文部科学省のパブリックコメントも含めて、教員志望者についてそれぞれの立場から提言され、結果として有意義な機会となることを願われました。
なお、この挨拶終了後に、長年にわたって教育実践学会顧問としてご尽力いただいている小原芳明先生に、教育実践学会から「功労賞」が授与されました。

基調講演(14:00~15:00)

「令和の日本型学校教育を視野に入れた教員の養成・採用・研修の動向」

講師 森山 賢一 先生(玉川大学大学院教授・教育実践学会会長)
司会 工藤 亘  先生(玉川大学 TAP センター長)

基調講演の壇上に立ったのは教育実践学会会長の森山賢一先生です。長年、本学教師教育リサーチセンター長を務め、現在も同センターでフェローとして調査・研究などに当たっています。
今回の基調講演のテーマは、令和3年1月の中央教育審議会答申である「令和の日本型学校教育」を実現する上で、教員の養成・採用・研修等のあり方について検討するために設定されました。令和3年答申において示された「令和の日本型学校教育」を担う教師及び教職員集団の姿として、あるいは同年3月の文部科学大臣諮問、「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について」の中で示されている1.教師に求められる資質能力の再定義、2.多様な専門性を有する質の高い教職員集団の在り方、3.教員免許の在り方・教員免許更新制の抜本的な見直し、4.教員養成大学・学部、教職大学院の機能強化、高度化、5.教師を支える環境整備等の経緯を含めたテーマ設定です。

基調講演 森山賢一氏 教育実践学会会長

今後の改革として下記の三つの方向性が示されています。

(1)「新たな教師の学びの姿」の実現
(2)多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成
(3)教職志望者の多様化や教師のライフサイクルの変化を踏まえた育成と、安定的な確保

こうした経緯と現状を踏まえながら、森山先生が示したのは、養成・採用・研修の一体的改革のもとでの「理論と実践」の往還、それこそが大切であるという思いでした。このことは「理論と実践」との統合関係からみた教育学を大切にしている教育実践学会の目的でもあります。すなわち「理論的教育学」や「規範的教育学」、「精神科学的教育学」における理論と実践の統合や、理論と実践の関係について様々な教育学者の主張を注視しながら、その関係様式としての「実証科学的研究の重要性の再確認」が重要であると述べられています。そして基調講演のまとめとして、「研究的実践」への取り組みの重視が大切であること、具体的には、「・校内研修の質の充実、・研究と結びついた実践、・反省、自己批判と結び付き進められる実践、・客観的に実践の確かさと深まりを探究する意識」の4点を強調し、哲学のある教育実践の実現が必要であると締め括りました。

公開シンポジウム

基調講演をベースにしたシンポジウムには、「教員養成、教員採用、教員研修」のそれぞれの立場から3名のシンポジストを迎えて、教育現場での現状や課題、これからの展望について語っていただきました。

テーマ「令和の日本型学校教育を視野に入れた教員の養成・採用・研修の現状と展望」

  • シンポジスト  :藤平 敦  先生 (日本大学文理学部教授)
    笠原 陽子 先生 (玉川大学教師教育リサーチセンター客員教授)
    大路 正浩 先生 (独立行政法人教職員支援機構理事)
  • コーディネーター:滝沢 和彦 先生 (育英大学教育学部教授)
  • 司 会     :工藤 亘  先生 (玉川大学 TAP センター長)
藤平 敦氏(日本大学文理学部教授)

日本大学文理学部で教員志望の学生を教える藤平敦教授は、20年間の高等学校教諭の経験を経て文部科学省研究官、そして日本大学教職センター副センター長としての任に当たって教員養成側の最前線でご活躍されています。
本シンポジウムでは1.「学び続ける教員」の育成に向けた具体的な視点 2.エビデンスに基づいた教員養成の必要性 の二つの観点を、ご自身の調査研究をもとに提示しました。また、その大前提として「教師が子どもを育てる」のではなく「子どもが自分で育つように働きかける」ことが大切と提起しています。

笠原 陽子氏(玉川大学教師教育リサーチセンター客員教授)

神奈川県で中学校校長を務め、神奈川県教育委員会の数多くの部署でリーダーとして歴任、現在、神奈川県教育委員会教育委員としても活躍の笠原陽子教授は、教育採用の立場からのシンポジストとして登壇しました。
今回の発表は、ご自身が担当されている神奈川県を例にして、「採用段階における現状と課題、そして今後の対応」について、その知見を参加学会員と共有した上で「養成と採用と研修が別々にあるのではなく、一体的取り組みの視点が必要である」との提言を展開しました。

大路 正浩氏(独立行政法人教職員支援機構理事)

2018年、現在の立場につかれた大路正浩先生からは、様々なトピックが提供されました。文部科学省に入省されて以降、各部署で長を務めながら行政での経歴を重ね、5年間の米国滞在調査を含めた経験と知識から、教員研修について現状を紹介。特に今後の教員免許更新の在り方すなわち「ポスト更新制時代に向けた研修観の転換」をテーマに発表されました。中央研修の在り方の見直しも含めて、研修の現状と課題について触れながら、教職員研修における「新たな探究型の学びと従来型の学びの共存」について解説しました。

コーディネーター 滝沢 和彦氏(育英大学教育学部教授)

コーディネーターを務める滝沢和彦教授は、長年にわたり教育思想と教師教育を専門に研究され、全国私立大学教職課程協会常任理事を務めています。
各シンポジストからの発表後に、滝沢教授から「各発表者に対するシンポジストからの質問」が提案され、その質疑応答の結果からも、教員の養成・採用・研修のお互いが密接に関連していること(一体化)、そして今後も検討を重ねる必要があるとの認識を再確認することができました。今回の検討課題を次回の教育実践学会大会(上智大学開催予定)に繋いでいくこととして第30会大会を閉会しました。

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