ColumnTAPコラム

2023.04.27

「礼儀正しさ」からみえるフルバリューとの関係性とは

村井 伸二(Shin)

TAPセンターの指導スタッフによるコラムを毎月掲載していきます。

「BIG FLY OHTANI-SAN!」お~また打ったか~、「おりゃ~っ!」投球後の雄叫びにまた三振取ったか、このように話題に枚挙にいとまがない大谷選手フィーバーです。俄野球ファンの私も流石にWBCには釘付けになりました。準決勝のメキシコ戦、そして決勝のアメリカ戦の間は申し訳ありませんが仕事になりませんでした。言い訳がましいでしが観戦することがむしろ仕事なのではないかと感じる程でした。笑

ところで決勝戦最終打席、エンジェルスのあのトラウト選手と大谷選手の夢の対決でしたね(ミラクルでした!)。ストレートの速球が何球か続いて最後のスライダーで三振!いや~凄い。「トラウト選手は最後直球を待っとったんやないか?」「俺やったら直球で勝負やな!」「いや~そりゃないわ」なんてあの晩、飲み屋さんではみなさんが大いに盛り上がったとか。。

ちょっと脱線しそうなのでさて、何でこんなに大谷選手フィーバーが起こっているのでしょうか。これは日本だけでなく、もちろんアメリカのファンも魅了し、今回のWBCの活躍によって世界に彼の存在は知れ渡ったことでしょうね。もちろんカッコ良くて逞しい、野球も二刀流で技術もピカイチ、その中でも特に彼の「礼儀正しさ」が際立って注目されています。 大谷選手についてこんな記事が載っていました。 パフォーマンス心理学の佐藤先生は連載記事の中で彼の言動・行動からその素晴らしさ、つまり人の心を掴む理由について4つのポイントを挙げています。

①セルフコントロールの達人
②絶対、自慢しない
③人の悪口を言わない
④質問につられない

これを読んで納得してしまいますね。詳しく見てみましょう。

「セルフコントロールの達人」について記事では大谷選手のフィジカルの強さ、渡米当時は怪我に悩まされていたようですが、今は何か強靭な肉体を手にしたような印象ですね。日々の鍛錬で怪我をしない体型を維持していることからもセルフコントロールが上手だという印象を与えているようです。

「絶対、自慢しない」は試合後のインタビューでも理解できますが、自分の功績を自慢するようなことよりも、むしろ他の選手が凄かったことなどを称賛する言動などが自慢をしないイメージがあるようです。

「人の悪口を言わない」について、試合中の審判のジャッジなどについて例え納得がいかなくとも文句やクレームをつける前に頷いて瞬時に自分を統制し、立て直しを図るなどいつも意識して行動していることが考えられますね。

「質問につられない」、これもインタビューなどでみなさん理解できると思いますが質問によっては感情に流されそうになってしまいそうな時も冷静な顔つき(笑顔ではありますが絶対羽目を外さない感じ)で対応しているのが分かります。

これらはキーワード項目の内容がそれぞれできているというよりは、相互に関連して上手に言動、行動化されているのではないかと私は推測してしまいます。だから彼のパフォーマンスやインタビューなどがあるとチャンネルを回し、くぎ付けになってしまうのは想像に容易いですね。

さらに、こんな興味深い記事もありました。大谷選手の「礼儀正しさ」がビジネスにも影響している。一体どんなことでしょうか。「礼儀正しさ」の対として「無礼さ」があり、この「無礼さ」がどう影響しているかの研究調査をまとめている『Think CIVILITY「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である』という書籍が紹介されていました。この本では「無礼な態度がいかに大きな損害をもたらすか」を明示するためにこんなデータを載せています。「職場で誰かに無礼な態度を取られていると感じている人は」

・48%の人が、仕事にかける労力を意図的に減らす。
・47%の人が、仕事にかける時間を意図的に減らす。
・38%の人が、仕事の質を意図的に下げる。

なんですって。私自身も大丈夫かと心配してしまいますが。。。みんながみんな大谷選手のように礼儀正しい人ならばとっても良いのでしょうが、世の中そんなではないですよね。世の中には無礼な人がいるという捉え方ではなく、満員電車、スマフォ漬け、仕事のストレスに消費社会などなど。こういった世の中が無礼な人を作ってしまうのかも知れないと私は思ってしまいます。それも踏まえて記事ではみんな大谷選手にはなれないけれども、シンプルに自分の態度を改めてみてはどうかとまとめられていました。確かにそうだと思います。

さて、これらを読んでいくと大谷選手の凄さは分かってきますが、我々には何ができるのでしょうか。TA Pではフルバリュー(相互尊重)という概念を大事にしていますね。お互いの価値を最大限尊重しましょうということです。何だか礼儀正しい人もこういったことをしているのではないでしょうかと思ってしまいました。「あの人は素直に意見を伝えてくれるよな。」「あの人はいつもネガティブなことをポジティブに変えようとしているよな。」「あの人といると何か安心して心地いいよな。」「あの人はくよくよせず前に進んでいるよな。」「あの人といると楽しいよな。」「あの人って分け隔てなく人と接しているよな。」こう考えると礼儀正しい人=(ほぼ)フルバリューな人になっていくのではないでしょうか。 つまり、大谷選手はフルバリューな人なのです。。。よね。どこかで試合後のインタビューで言ってくれないですかね。そうだ、エンジェルス中継のビクター・ロハスさんが「BIG FLY OHTANI-SAN」と共に「FULL VALUE OHTANI-SAN!」とか言ってもらえるとみんなが礼儀正しくなったりして。。。そんなの無理ですかね。

記事のように大谷選手の素晴らしい功績や肉体を含めた野球のパフォーマンスだけでなく、これなら私もできるよっていうところを探してみるとTAPでやっていることと重なってきますね。今回はちょっと強引だったかも知れませんが沢山の試合を見て、記事を読んでTAPだな~なんて思ったのでこのコラムを書かせてもらいました。

フルバリューは元々ネガティブなイメージを活用していました。例えば「嘘をつかない」「なになにをしない」という表現だったのが、ポジティブな意味合いといった「本音を話しましょう」「なになにしていきましょう!」にした方がフルバリューっぽくて、みんなが行動していこうという気になるのではないかという変化の経緯があるのです。ですから世の中の「無礼さ」をぜひポジティブな「礼儀正しさ」に移行していくことによりビジネスだけでなく、もっと明るい未来をみなさんで築けるのかも知れません。

私も大谷選手を目指すのではなく、彼の良いところをちょっと見習って継続的にやっていきたいと思っています。そうしたら礼儀正しい人たちが集まる良い社会に向けてみなさんがホームランをかっ飛ばせるのかも知れませんね。

「BIG FLY MINA-SAN(みなさん)!」
今回も私のコラムを読んでくださり誠にありがとうございました(これって礼儀正しいですか?)。


参考文献

・サンケイスポーツ【トップランナーに学ぶパフォーマンス術】大谷翔平の愛され力 ビジネスマン必見…なぜ国境を越えて人の心をつかむのか
 https://www.sanspo.com/article/20230103-Q5FZSM3VDJNI5O6CRRGTLV6WHI/ (2023年4月20日閲覧)
・フォーブスジャパン 大谷翔平の「辞退」を称賛 米国人が好む「ビジネス礼節」とは
 https://forbesjapan.com/articles/detail/44548/page3(2023年4月20日閲覧)
・クリスティーン・バラス 著, 夏目 大 訳, 『Think CVILITY 「礼儀正しさ」こそ最強の存在戦略である』東洋経済新聞社, 2019年

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