ColumnTAPコラム
ファシリテーションを通して学ぶTAPインターンとは
光川 鷹
TAPセンターの指導スタッフによるコラムを毎月掲載していきます。
世界の平均気温が、7月は過去最高を更新するという異例の暑さが続く毎日ですが、皆様健やかにお過ごしでしょうか。当センターでは日々のプログラムに指導スタッフだけではなく、TAPインターンというTAPを通して学びたい学生が共にファシリテーターとなり、参画しています。TAPインターンとは、自身のファシリテーション力を育みながら、自身や社会をより良く、また豊かにすることを目指している学生スタッフのことです。指導スタッフと共にプログラムに関わる参加者の気づきや学びの促進を担ってくれています。私自身も元TAPインターンの身であり、そのノウハウや経験が非常に活きている実感を持っています。しかしながら、多くの方から「TAPインターンってどんなことが学べるの?何しているの?」と聞かれること(つい、昨日も質問してくださいました)が多々あり、これまで発信されてこなかった部分のようにも思います。そこで、今回はTAPインターンがどのような学び方をしているのかについて、私の経験則も踏まえながら、その一端を紹介させていただきたいと思います。
TAPでのプログラムの場合、全体での活動を体験し、その後小グループ化されていくのが一般的な展開になります。グループ化された際には、特に小中高生を対象とした場合、以下、図のような形態で実施することが多いです。※グループサイズに関しては活動中のアセスメントによるため、一概にこの通りになるとは限りません。
メインファシリテーターについては原則、指導スタッフの立ち位置となり、TAPインターンは基本的に、グループを持つことになります。1つのグループに対して、2名程のファシリテーターが関わる形態を取る場合が多く、参加者の学びや可能性を拾い、引き出していくこと、とタスクを円滑に進行していくためです。また、およそ先輩(古参者)がグループファシリテーターを担い、後輩(新参者)はグループサポートファシリテーターという役割で、先輩の姿を見て学び、少しずつできることを増やしていくためです。つまり、複数ファシリテーターが配置されるのは参加者視点とファシリテーター育成視点の2点からなっているということです。
当時、大学1年生だった頃の私はグループサポートファシリテーターに注力し、参加者の心の動きや行動の背景を関わりながらアセスメントすること、その変容にどのように寄り添えるか、気づけるのか、ひたすらトレーニングしました。このように注力できたのは、先輩が私のやりたいことを認めてくれて純粋に臨める場を整えてくださったからです。私たちの代は多くの先輩と組ませていただく機会に本当に恵まれた環境にありました。実際にファシリテーションしていく中で、○○さんの話し方、○○さんの雰囲気づくり、○○さんの関わり方など、指導スタッフや先輩方のイメージを基にしていることがたくさんあります。そういった意味で、TAPインターンが身に付けていくファシリテーター観は、人との関わりの中で育まれて繋がっていくTAP独特のものかもしれません。
さて、話を戻すと、TAPでのファシリテーターが育つプロセスには、まず基礎的なものである挨拶、表情、態度等を身に付け、次に、学びたいことやできるようになりたいことに向けて進んでいきます。さらに、指導スタッフや先輩との振り返りを通して、視野を広げて実践を重ね、グループサポートファシリテーターの視点を蓄積していきます。そして、グループを十全的に担うグループファシリテーターになっていく(グループが持てるようになる)。このようなプロセスを経て、TAPインターンがグループファシリテーターになっていくのではないかと考えています。
ここで、忘れてはならない重要なことは、自身の成長だけに主眼を置いてはいけないということにあります。なぜなら、プログラムは参加する方がいて、はじめて実現されるものです。一つでも多くの自己や他者、チームに対しての気づき、仲間のありがたみ、自分の可能性が拓かれていくために、「今、この瞬間に」何ができるかを模索していく過程に学びがあると思っています。
ここまで、TAPインターンの学び方について、主にファシリテーターとしてプログラムに参画し、人との関わりの中で学んでいくことを中心に紹介させていただきました。TAPインターンの認識が少しでも広がってくれればと思っています。上述した内容だけにとどまらず、活動の範囲は多岐にわたっています。また稿を改めてご紹介の機会を頂ければと思います。
加えて、大学生が企業研修等のプログラムに携わり、社会人の方々と関係性を築き、これからのキャリアをイメージできる場を持っているのはそれだけで十分な特質であろうと思います。その特質を継続し、発展していくためにも、学生と共にファシリテーション力を磨いていきます。また、私の個人的なテーマでもある“共働的ファシリテーター”(単なるアシスタントではなく、そのチームや社会に向けて共に働きかけられる人)がこれまでの経験で培われてきた大切にしたいファシリテーター観であることに辿り着きました。(※仮名称です。)これからまた深めていきたいと思っております、また機会がありましたらお読みいただけますと幸いです。
厳しい暑さが続いておりますので、皆様ご自愛ください。最後までお読みいただきありがとうございました。
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