ColumnTAPコラム

2023.09.25

シンギュラリティ、TAPのファシリテーターが仕事を奪われる???

村井 伸二(Shin)

TAPセンターの指導スタッフによるコラムを毎月掲載していきます。

みなさん、最近気づいておられないと思いますが、当たり前にAIに囲まれて生活していませんか?「OK Google 今日の天気教えて」はもう慣れたもの、近頃はGoogle Homeの聞き取りの反応が悪くてこっちがイライラしてしまいます。それなのにうちの息子が「OK グルグル」って言ったら反応しました。。。あ~忙しい、今日も洗濯多いな、洗濯でもしようと思ってスイッチを押そうとしたらAIで洗剤の量を計算してくれる?さらにご飯も炊かなきゃって炊飯器のボタンを見たら「AI炊き?」(こんな名前ではないかと思いますが)。はたまたYouTubeで動画を見ようとしたら広告が妻のものと異なっていることが最近分かりました(英語のワークショップや英語習得のアプリの宣伝などなど。。。)。これってつまりアルゴリズムで私がどんな動画をよく見ていて、それを分析するとこんな広告が私には適しているとAIが判断しているのでしょうね。。。。みなさんはどんな広告が多いですか?
このようにみなさんの生活の中にAIというものは欠かせなくなってきているはずです。
ところでみなさん「シンギュラリティ」って概念はご存知ですよね。

シンギュラリティとは、人工知能(AI)が人間の知能を超える転換点(技術的特異点)を指す言葉です。
シンギュラリティは、1980年代からAI研究家の間で使用されるようになった言葉で、アメリカの発明家であり人工知能研究の世界的権威であるレイ・カーツワイルが2005年に提唱した未来予想の概念です。カーツワイル氏は、シンギュラリティは2045年頃に起こると予想しています。シンギュラリティが起こると、AIは人間の知能を超えた後も、自らの知能をさらに向上させ続けると考えられており、その結果、人間の生活や社会に大きな変化をもたらすと予想されています。
具体的には、以下のような変化が起こる可能性があります。

・仕事の自動化による失業
・医療や教育の進歩
・宇宙開発の加速
・生命の創造

シンギュラリティは、人類にとって大きな転換点となる可能性を秘めた概念であり、その到来に向けて、さまざまな議論が行われています。

・AIの倫理的な開発・利用
・失業対策
・教育の改革
・宇宙開発への投資

シンギュラリティは、未知の未来である、その到来を予測することは困難です。しかし、その到来に備えて、今から準備を進めることが重要です。
2023年9月20日現在、シンギュラリティが起こるかどうかは明らかではありません。しかし、AIの進化は目覚ましく、シンギュラリティが起こる可能性は否定できません。
シンギュラリティは、人類にとって大きな転換点となる可能性を秘めた概念であり、その到来に向け、さまざまな議論が行われています。

実は上記の「シンギュラリティとは」から「さまざまな議論が行われています」までは生成AIであるGoogle Bard(ちょっとOpenAIのChatGPTに対抗して)に作ってもらいました。「シンギュラリティ」とタイプしてエンターを押すだけでこれだけの知識を得ることができます。月並みですが、学生さんはレポート作成に気をつけてくださいね。笑
それはともかく、これだけAI、AI、そしてシンギュラリティという言葉が普及することによってこれからはAIに仕事を奪われてしまう。AIに支配されて生きていかなければならないのかと不安になってしまいますね。ちなみに「AI」とタイプすると歌手のAIさんが最初に検索されるのはとても嬉しく思いますね(関係なくてすみません)。
しかし、シンギュラリティって本当に起こるの?AIってそんなに凄いのかな?と疑問を持っても良いかもしれません。

数学者で『AI VS. 教科書が読めない子どもたち』の著者である新井紀子先生はこのような記事を書いています。先生が大学でAI技術を学ぶ学生に対する授業の中でデータを収集するとAIが「笑っちゃうような間違い」をすること、そして「AI技術を学ぶ平均的な学生にとって、シンギュラリティブームは「過去のあだ花」、悪くすれば「黒歴史」に変わっていたのである。」と述べられています。それにも関わらず新井先生は「ロボットは東大に入れるか(東ロボ)」といったプロジェクトを行っています。そこで東ロボは過去5年分のセンター入試の不要文除去問題を100%正答したそうです。これだけを聞くと「やばっ!」となってしまいそうですね。ただし、こういった問題傾向の正解率は上げれたものの、英語ではなく「国語」といった現代文や漢文などが入り混じったとても複雑な教科には今の技術の延長線上では対応できない(人口的なニーズを考えてやる人もいない)とも述べられています。
つまり、AIは意味を分かっているのではなく、あくまでも膨大なデータの中から正解を導き出しています。先生が言うように「東ロボプロジェクトをスタートしたときから、AIには意味がわからない、ただ、一番正しそうな選択肢を統計的に選ぶだけだと伝えてきた。」ということなのでしょうね。
これで私たちは「そうか、シンギュラリティは今のところ来ないんだな。では安心して生活して大丈夫ではないか」という短絡的な考えになる訳にはいかないようですよ。これからも技術革新はどんどん進んで行きますね。「今のところ」から将来がどうなっていくのかを予想しながらも「AIに仕事を奪われないように」我々しかできない「読解力」を磨き上げていく必要がありますね。

こんな記事もありました。これからのビジネスの未来に大きく影響を与える可能性として「AIがどんなに賢くなっても、人間の話し方や感情、芸術的な創造を模倣することに長けても、AIそのものが身体化されることはないということだ。」ということです。
以前からAIに仕事を奪われない職種としてこう言った感情、芸術、創造などのキーワードが挙げられていました。プラス、とても気になるのが「身体化」という言葉です。人間らしい身体を活用した活動、エクササイズ、ヨガ、ダイエット関係など「ウェルネス」に関するビジネスがここ数十年で急成長しているようです。さらに若者はスマートフォンを手放して公園でおしゃべりしたり本を読むことを選んでいる傾向にあるようですよ。
私はここ数年「ガラ携」を使用しているのですが(スマフォが面倒くさい、使い切れていないからと言いながら周りの人にはご迷惑おかけしています。)学生たちには「ガラ携使っている人久々見ました」とか「初めて見ました!」ぐらいの勢いで珍しがられています。笑 しかし、こういった環境がビジネスとして成り立っているようなのですよ。新型コロナ感染症という人と人が直接会えないということもあったのかもしれませんね。
この記事を読んでいると「これってTAPじゃない」って思いませんか。現在、多くの企業様がコロナ禍後にTAPに戻ってきてくださったり、新規の方々も増えてくださって本当に感謝しています。我々もこのようなニーズを踏まえて更なるプログラムの発展に寄与しなければならないと考えています。
AIに話を戻しましょう。と言ってもAIはこれからも技術発展します。もしも読解力をつけたら、もしも「Siri」が感情を持って創造性を発揮したらどうでしょうか?我々が行っているファシリテーターがAI化してしまったら?
この間ファミリーレストランに行ったら配膳ロボットに遭遇しました。「うわ!」と思いましたが、しっかりと仕事をこなしていました。配膳経験者としては「もっと早くパッパと持っていけ!」と思いましたが、人にぶつからず安全回避をして動くなどはすごい技術だと思いました。しかも人間みたいに気を使わなくて良いですしね。イラっとしても文句を言いたいと思わないですし(もしロボットに真剣に怒っている人がいたら客観的に滑稽ですものね)。
もしロボットPepperくん(玉川大学STREAM Hall 2019にいらっしゃいます)がファシリテーション能力を身につけ、アクティビティを説明し、「うんうん」なんて頷きながらみなさんを観察し、活動が終わるとPepperくんが「今の活動はどうでしたか?」「その出来事ってどういった意味だと思いますか?」「どのように応用できると思いますか?」なんてやり出したら、しかもハイチャレンジコースではPepperくんからクライミングロープを操作する機械が出てきて私よりも上手なビレイ(高所にいる参加者を安全確保する)なんかできちゃったら。さらにさらに、ディープラーニングから面白いセンテンスを抽出し、私よりもキレッキレのジョークを交えた面白い話しなどをくり出してきたら。。。。。今日も眠れません。

でも真剣に将来はこういった技術が可能なのかもしれません。それよりも「人間のファシリテーションの方が楽しいし学びがあるね」って言われ続けられるように勉強し、技術を身につけ、経験を重ねていくしかないと私は思っています。でも忙しい時に代打でPepperくんがプログラムやってくれたら助かる~なんて。。。研究テーマになりそうですけれどもね。
AIに仕事を奪われないようにとは思いますが、もっと共存できたらいいですね。人間がよりよく過ごすためにAIを上手に活用する(忙しくなってしまうとか時短にとかだけでなく、人生を豊にするために)。AIに使われる、支配されるのではなく、でないと「猿の惑星」ではなく「AIの惑星」が現れてしまうかもしれません。本当にターミネーターやマトリックスの世界です。
我々TAPはAIの革新に感謝しながらも自らの「読解力」「人間らしさ」、そして「身体化」とは何かを探究し続けなければならないのではないでしょうか。
「ねえSiri 、この問題についてどう思う?」「よく分かりません。」ふ~、今のところは安心しました。

引用文献

「シンギュラリティ」、Google Bard
https://bard.google.com/chat/acf75a7c6dda56a3(2023年9月21日閲覧)

新井紀子「AIに読解力があると思う人に知ってほしい現実 学生の新常識は「シンギュラリティ=黒歴史」だ」、東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/articles/-/370228?page=5(2023年9月21日閲覧)

「AI時代、人とビジネスの未来は「身体化」への欲求がヒントになる」、Forbes JAPAN
https://forbesjapan.com/articles/detail/62922/page2(2023年9月21日閲覧)

Contact !!お問い合わせ

私たちの活動内容や研究について、
またこのサイトに関するお問い合わせは
以下よりお願いいたします。

お問い合わせ先

玉川大学TAPセンター
〒194-8610 東京都町田市玉川学園6-1-1アクセスマップ

[玉川大学TAPセンター 2024年度 休務日]
・土曜・日曜・祝日
・玉川学園・玉川大学の行事、一斉休暇等による休務日および業務都合日
8月24日(土)~9月1日(日)、12月24日(火)~2025年1月5日(日)

※こちらをクリックするとお使いのパソコンのメールソフトが立ち上がります。