ColumnTAPコラム

2024.01.11

Karl Rohnkeのスピリットに触れる

永井 由美

TAPセンターの指導スタッフによるコラムを毎月掲載していきます。

毎年11月に開催されるAssociation for Experiential Education(以下、AEE)のインターナショナルカンファレンスは今年はウィスコンシン州のマディソンで開催されました。11年前の2012年も同じマディソンで開催されていました。私は2012年に初めてAEEに参加をしました。今回は、このAEEでのKarl Rohnke氏(以下、親しみを込めてKarlと呼ばせてください)のワークショップでのこと、そしてKarlの大切にしていた考えについてお話したいと思います。

2012年のAEEインターナショナルカンファレンスで私は初めてKarlにお会いしました。アドベンチャー教育の世界に入ってからいつか機会があればKarlにお会いしたい、そしてワークショップに参加をしたいと思っていました。 AEEではカンファレンスの実施日程の前にプレカンファレンスがあります。このプレカンファレンスにKarlのワークショップがありました。参加ができることになった時はそれはとそれは嬉しかったです。当時、AEEへの参加を提案してくださった難波前センター長(Kat)やTAPセンターにも感謝です。

ワークショップ当日、私は少し緊張しながらワークショップ会場に入りました。参加者は、40名程でした。ホテルの広い会場に椅子が円形に置かれており、参加者はどこに座ってもいいようになっていました。ワークショップが始まるとKarlは参加者の緊張を感じ取ったのか椅子から降りてカーペットのフロアにみんな座ろうと言い、カーペットに座りました。そこからみんなストレッチをしようと開脚し、参加者みんなでストレッチをしました。開始早々いきなりの床でのストレッチに驚きましたが、緊張していた私にとっては自然と緊張がほぐれてとても有難かったことを今でも感覚とともに覚えています。それから、2人組になりワインのコルクを使用して、自分の片手にコルクが最大でどのくらい乗るのか、ペアで協力するとどれくらい乗るのかなどアクティビティを行いました。その後、全員で円になり基点の人から順番に「How are you?」と隣の人に声をかけ、声をかけられた人は「I’m fine, and you?」と返答し、全員にこの声かけが回った後に、各自に一つ数字が伝えられ、その後、全員が目をつぶり伝えられた番号順に並ぶというアクティビティを行いました。アクティビティの際、発して良い言葉は「mingling(ミングリン)」のみでした。初めて会った人同士の中で行うことは難しそうで、達成できるだろうかと感じました。アクティビティを行っている時はもちろん楽しみながら取り組んでいましたが、一方でKarlはなぜこのタイミングでこのアクティビティを選び、行っているのだろうということも考えていました。また、このような課題解決型のアクティビティを行った後は振り返りの時間があると思っていましたが、Karlのワークショップではありませんでした。後にKarlを知っている方々とこの経験を話した際にKarlのプログラムでは一切振り返りはないという話を聞きました。ここでは振り返りを行う、行わないということに関連する何が正しいかというようなお話をしたいのではなく、Karlが大切にしていた考えを知ってもらいたいと思います。それは「FUNN(Functional Understanding Not Necessary)」です。色々な訳し方があると思いますが、「楽しさは理屈じゃない」ということだと思います。これはなぜやるのか?、何のためにやるのか?、どんな効果があるのか?、なんでこの人はこう言ったのだろう?などと私がKarlのワークショップに参加している瞬間に考えていたことと同じです。これらのことを考えることももちろん重要ですが、そうでないところに楽しさやFUNがあるのではないか?ということを言いたかったのかもしれないと理解をしています。Karlのワークショップでは大きな輪ゴムを2人で最大限引っ張りあって同時に2人が手を離したらどうなるかなんていうアクティビティもありました。こんな遊びやったことないですよね。しかしKarlは楽しそうに参加者の前でやり始めます。普段だったら輪ゴムをそんなことに使用しないですし、そんな発想は私にはないです。しかし、遊んでいる時のこれこうしたらどうなるんだろう?と考えて色々と試してみる子どもの時に遊びの中でやっていた感覚にすごく似ていると思うのです。難波前TAPセンター長(Kat)がKarlは「遊びの天才」と言っていたことが理解できる瞬間だったと思います。Karlからの大切なメッセージは、FUN、楽しさ、楽しむ気持ち、遊びを大事にすることだと思います。

Karlのワークショップに参加をしたのはたったの1回ですが、同じ時間を共有し楽しんだ私にしか伝えられないことがあるのではないかと思い今回のコラムに書きました。残念ながらもうKarlにお会いすることは出来ませんが、Karlのスピリットをいつまでも忘れないようこれからも楽しいプログラムができるように前へ進んでいきたいと思います。

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