ColumnTAPコラム

2024.05.10

HUMORが与える学びへの効果について。〜Have funって難しい時がありますね。でもヒントは日常にある???〜

村井 伸二(Shin)

TAPセンターの指導スタッフによるコラムを毎月掲載していきます。

みなさん、今年度も始まりましたね。GWにも突入してしまい、、、とにかくいかがお過ごしでしょうか。新一年生、新入社員、私ごとで言えば息子たちはあひる組とたんぽぽ組(仮名)に進級、私も今年度で半世紀と2年目の歳になります(これは事実ですがまだまだクラッシュの3分の1)。。。。きゃーってみなさんにおいても目まぐるしい時間の早さを体験しながら色々な感情で新年度をワクワクしながら楽しんでおられるかと思います。
ところでみなさん、TAPでは”Have fun”がとても大事なのはご存知ですよね。でもこの言葉の意味って結構難しくないですか?楽しい時に学びがあるとか、楽しみながら学ぶとか、特に真剣な顔(特に苦しんでいる)をしていることが良しとされ、勉強しているときに笑うなんて「もっと真面目にやれっ!」と怒られて育ってきた私にはとても難しい時があるのです。笑う門には福来たるとか言うけど、笑う門には学びがあるってなるのかな?みたいな感覚です。「なっ、これ面白いよな!」って抑圧的かつ強制的に笑わせることもできないし。では芸人さんみたいに巧みなトークや身振り、そして絶妙な間で人を笑わせる?私みたいなユーモアの若輩者がチャレンジしても「さぶっ」で終わってしまうでしょうね(多分私の授業を受けてくださっている学生はすでに感じている。。。)。そうなるとお互いの関係にも良くないですね。
我々が行うアクティビティは参加することで自然に笑顔になっていく、こういった体験はみなさん理解していただけるかと思います。ただ特に学生さん(学生スタッフとして我々と共に学んでいる)がファシリテーターを目指していく上でとても難しそうだなと感じるのが、アクティビティとアクティビティとを繋ぐ語りだったり、意見や質問に対してどう受け答えするか、などがとても大変そうだなと思っています。「つなぎ」って言うのですかね。アクティビティが楽しかったのにつなぎの語りが真面目すぎたり固かったりでテンポやトーンが下がるなんてことが多々あります(本当に難しいと思います)。我々はコンサートDJのMCではないのですけれどもこの内容によっては意味付けされてアクティビティの学びがもっと深くなったりするのではないかなと思います。ここで言いたいのは笑いだけではなく、A-haモメントだったり、そうだよな〜、あれっ知らないうちにこんなんに仲良くなってる、みたいなことをさらっと支援できることかなということです。その要素の一つが“Sense of HUMOR”だったりするのかなとも思っています。それは日常に目を向けると色々なところから起こっているのではないでしょうか。

このユーモアというものは日々から起こる、つまり生活習慣的なものが影響しているのかなと思っています。私の妻は関西人、しかも大学は九州だったので結構仲間が関西出身だったりと関西色が強かったことで私は似非関西弁を使ったりします。大学の同期で集まろうとなるとやはり場所が関西になるのですね。
以前、同期でみんなと食事を終えてレストランの3階から下に降りようとエレベーターに乗ろうとしたら、中に人が多くて乗ろうとしたら扉が閉まろうとしてまた開いたんです(状況分かってくれますか?)。そして乗ろうとしたらまた扉が閉まろうとして開いた瞬間にみんなで乗ることができました。ふ〜って思ったその時です。後ろからひょこっと顔を覗かせたおじさまが一言「にいちゃん、もう一回せなっ!」って。分かります?「何で2回でおわんねん。面白いことは3回せえよ」と知らない人から教えを乞うたのです。
また、別の電車に乗った時です。以前関西では電車が空いている時におばちゃんが飴ちゃんを配ってくれると聞いたことがありました。「そんなことあるかい?」と思っていた時でした。電車で知り合いと座っているとおばさまが乗ってきたので「どうぞ?」と席を譲ったら「おおきに」と座りました。そしたらその方がお尻を横にずらしながら「にいちゃん、座れるがな」って無理矢理に横に座らせてくれました(笑)。そしたらその時が来ました。「にいちゃんな。。。」って言いながら自分のカバンをまさぐるとなんと飴ちゃんではなくお豆さんがたくさん出てきて、「これは醤油のお豆さん」「これは甘めのお豆さん、これは私が食べるやつやな」なんてブツブツ言いながら「にいちゃんこれ食べ!」っていただきました。どんだけ食べ物がカバンの中に入ってんのやろか?これは飴ちゃん同様のいざという時に配るストックなんやろか?ホンマに四次元ポケットやなと思いながら「ありがとうございました。すみませんがご出身はどちらですか?」と尋ねると、その方は「生粋の大阪やで」と言うのでしたがお豆さんの裏を見てみると「京都」と明記してあったんですね。私が「これ大阪ではないんですね。」って伝えたら「にいちゃんな〜、そんなこと言われへんで。。。」ってまたカバンをまさぐった途端、今度は笹かまが出てきたんです。「酒の当てにし!」って「いや、そんなつもりではないのですが、ありがとうございます」って笹かまを良く見たら「兵庫」って書いてあったんです(これは言いませんでしたが)笑。 その後は「最近の若い人はもっとシャンとビシッとせなあかん」とか色々な訓示をいただきながら、おばさまは自分の駅に着いたら「ほな!」って手を挙げて電車を降りて行かれたのです。そのおばさまの後ろ姿は本当にカッコよかったんです。しかも最後まで飴ちゃんではなかった(笑)。これらのエピソードは相当私の中でインパクトがあったのです。
この方は推測ですが、多分大学でコミュニケーション学を勉強したわけでもないし(確認していませんが)、我々のようなアドベンチャープログラムをやっているファシリテーターでもないんです(これまた確認していない)。なのにこんなにコミュニケーションが円滑で面白かったんです。みなさん改めてユーモアって文化や日常とが影響していることを理解してもらえるのではないでしょうか。

みなさん『ユーモアは最強の武器である(HUMOR、SERIOUSLY)』という本をご存知ですか。この中でアーカーさんとバグドナスさんは仕事上でユーモアを用いることによって与える4つの効果を述べています。

パワー:地位が高く知性が優れている人という印象を与え相手の行動や意思決定に影響を及ぼす。こちらが提案したアイディアを覚えてもらいやすくなる。
つながり:知り合ったばかりでも信頼関係が生まれ、打ち解けることができる。長く続いている間柄なら、なおさら満足感を覚える。
創造力:それまで見落としていた関連性に気づきやすくなる。リスクのあるアイディアや型破りなアイディアを思い切って提案できる。
レジリエンス:ストレスが緩和され、挫折から立ち直りやすくなる。

これらはまさにAdventureで活用できるものばかりですね。そしてこれらはトレーニングすることで培われるとも述べられています。つまりHUMORは鍛えられるのですね。

以前、『生協の白石さん』という書籍が人気を博していたのを覚えていらっしゃいますか?東京農工大学にある生協に色々な質問が来ます。それをユーモアを交えながら答えているのが有名になり、なおかつ書籍になったものです。白石さんの返答でこんなものが紹介されていました。

「Q:単位をおとしまくってます。助けて下さい。
A :心中お察し申し上げます。しかしながら、当生協にそのような落し物の届け出はないようです。こればかりは、ご自身の日々の積み重ねが大事かと思われます。生協にはみじんも頼る事なく、勉学にお励み下さい。担当:白石」

本当にかっこいい返しです。そして勉強になります。しかも続版として18年ぶりに『帰ってきた生協の白石さん』が現在発売されています。

そういえば、以前ある芸人さんがお忍びでディズニーシーの「タートル・トーク」ではなんであのような返しができるのかを勉強していたということを思い出しました。
この間ディズニーシーに妻の姉妹家族みんなで行く機会があったんです。もちろんタートル・トークにも参加しました。その時クラッシュ(知っていると思いますが念の為ウミガメです。)が「誰か質問はあるやつはヒレを上げてくれ〜?」って前列に座っていた私の従兄弟が手を挙げて指名されました(これも凄い)。従兄弟は興奮して「ククククラッシュは何を食べているのですか?」って尋ねたら「おいおいいきなりだな〜名前も教えてくれないのかい?」って返しがきて、その後すぐに「なっ白石〜(多分白石さんではなかったと思います。。。すみません)聞いているかっ?」ってその前に「的」になっていたお客さん(だいたいが良い人で絶妙な方をクラッシュが選ぶ)に触れてみんなが大爆笑でした。凄すぎる!すぐさまクラッシュが「お前たち、最高だぜ〜!」って「クラッシュ、あんたが最高だぜ〜っ」て心で思っていました。芸人さんが勉強したくなるのも理解ができます。しかもこのやり取りで従兄弟の緊張が解れて、その後質問が改めてスムーズに受け入れられ会話になっていたのです。その後の従兄弟の表情は皆さんの想像にお任せします。クラッシュ、カッコ良すぎるぜ。Dude!

私は海流に乗ってもクラッシュに追いつくことはできませんが、みなさんにとって学びのある環境、そしてユーモアを大事にしてくれる場作りの支援に尽力していきたいと思っています。そうしたらHave funなんて難しく思わなくていいですよね。もうその場が楽しいのですから。
新年度もしんどいことが色々あるかもしれません。そうしたらユーモアを用いてチャレンジしてみてはどうでしょうか。
もしShinを見て「あ〜またなんかつまんないことぶつぶつ言ってるな〜」と思ったら温かい目で見守ってあげてください。「そうか、Shinは今ユーモアのトレーニングをしているのだ」ってね。
では今日はこの辺で。みんな最高だぜ〜っ、ほな!

村井伸二:Shin

引用文献

ジェニファー・アーカー、ナオミ・バグドナス(著)、神崎明子(訳)『ユーモアは最強の武器である HUMOR, SERIOUSLY』、2022年、東洋経済新報社

日本私立大学協会
https://www.shidaikyo.or.jp/newspaper/rensai/daigakujin/2406-4-1.html (2024年4月25日閲覧)

白石 昌則(著)、東京農工大学の学生の皆さん(著)、『生協の白石さん』、2005年、講談社

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