ColumnTAPコラム
Project Adventure Facilitation Seminar =Basic course=を受講してみて
光川 鷹
TAPセンターの指導スタッフによるコラムを毎月掲載していきます。
皆様、うだるような暑さが続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。2024年5月19日から始まった全4回のプロジェクトアドベンチャーファシリテーター養成連続講座1)を受講してきました。本報告も兼ねて今回のコラムとしたいと思います。本講習会はPAファシリテーションの礎となる理論/スキルを講義や演習を通して体系的に学び、身につけることでした。
各回の内容について
第1回:5月19日(日)キックオフ/ファシリテーターとしてのマインドセット
第2回:6月 2日(日)アセスメントについて
第3回:6月16日(日)安全かつ学びにつながるエレメント体験を提供する練習
第4回:6月30日(日)プログラムデザイン概論
受講者5名は、駆け出しのファシリテーターの方やベテランの方など、様々な経験や考えを持ち、対話がどんどん深まっていく豊かなメンバーでした。全員が無事に講習会を修了し、「Project Adventure Facilitation Seminar =Basic course=」1期生となりました。
講習会を通しての気づきと学び
講習会を受講したことで得られた学びは大きく分けて2つです。
1つ目は、現在地を確認するための自己点検の観点を持つことです。講習内では、ファシリテーターセルフアセスメントシート(PAJ作成)やスキルチェックテストなどファシリテーターとしての現在地を確認するためのワークが取り入れられていました。つい、自身の振り返りとなると主観的な解釈をしてしまいがちですが、このような資料を媒介とすることで客観的に自分自身を見ることができます。自分なりの自己点検の観点を持つことは重要だと学びました。また、TAPやPAの理念でもあるAdventure、Full value contract、Challenge by choiceの3つの要素が伴う場をファシリテーターとして提供できていたかというのは、非常に重要になってきます。インターン学生と一緒に立ち返ることを心に止めておきたいと思います。
2つ目に、アセスメントの根拠を明確に持つことです。参加者やグループをアセスメントする際に、GRABBSSもそうですが見たり、聞いたり、考えたり、感じたことから、判断してプログラムシークエンスを組み立てていきます。複数の情報や複合的な視点から参加者やグループを捉えることが繰り返されると、何を持って判断したのか、気づけば現象としてではなく、解釈されたものとして認知していることはよくあるのではないかと思います。だからこそ、事実と解釈を切り離すことを意識化していく。そのために振り返りの中で、事象に対してどのような解釈や認知をしたのかを確認することが重要だと学びました。
この学びから以下の図にある「The ABC≈R model」2)は有益な示唆を与えると思います。これは、ファシリテーターが参加者やクライアントとの関係性を築く上でのアクセスポイント(関係性の入り口)を探すためのツールとして活用されています。アクセスポイントを探すということは、参加者の観察なくして成り立つものではありません。つまり、The ABC≈R modelはアセスメントツールとも言えるでしょう。目の前にいる参加者は、どこを出発点(感情・行動・認知)として、それぞれの感情・行動・認知のプロセスを経て、結果の姿に至っているのかを解釈することができるかもしれないということです。そういった意味で、The ABC≈R modelをアセスメントツールとして自身のファシリテーター観である参加者を時系列(プロセス)で捉える観点と位置付けるのかは今後の課題として取り組んでみたいと思います。
最後に、この度の講習会の受講に際してPAJスタッフからのご紹介がなければ、本講習会に出会うことができませんでした。改めて感謝申し上げます。また、このような機会のために日頃より業務の調整や勤怠関係の確認をしてくださるTAPセンターの皆様には本当に感謝しています。本講習会での学びを風化させることなく、プログラム開発やスキル向上を通じて、TAPに還元し学び続けるファシリテーターであり続けたいと思います。
1)https://pafs202405-06.peatix.com/view
2)Michael A. Gass, H. L. “LEE” Gills, Keith C. Russell『Adventure Therapy』ROUTLEDGE Taylar & Francus Group, 2012, p. 55
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