ColumnTAPコラム
人口減少日本でこれから起きること、
それはTAP人口が増えていく!?
村井 伸二(Shin)
TAPセンターの指導スタッフによるコラムを毎月掲載していきます。
5月皐月になりGWはみなさんゆっくり出来ましたでしょうか?それにしても何処に行っても人人人。何処からこんなに人が現れるのかと感心してしまいます。しかし、インバウンドで観光に来てくださっている外国人の方々に紛れて実態が把握できていないかもしれません。
日本経済新聞は「総務省は14日、2024年10月1日時点の人口推計を発表した。外国人を除いた日本人の人口は1億2029万6千人と89万8千人減った。過去最大の減少幅になった。出生児数が死亡者数を下回る自然減が18年連続で続く」と報じています。つまり、日本の人口増加は頭打ちしてこれからは減る一方ということになります。注目したいのは高齢化です。高齢社会白書によれば2025年現在の高齢化率(65歳以上)は29.6%で2030年には30.8%に達すると予想されています。文字通りに3人に1人が高齢者となる社会に突入しているのです(私の授業で3人に1人が65歳以上だったらどれだけ多様性があって学びが活性化することか。。。)。今の大学にいるとほとんどが高校卒業から入学する学生なので高齢化に気づき難いですし、普通に生活していて昨年より89万人口が減ったなとは感じないでしょうね。。。笑
もう一点は大学にいると気になってしまうのが少子化問題です。厚生労働省のデータによれば合計特殊出生率の調査開始の1945年には「4.54」だったのが2023年には「1.2」となりました。これは第1次ベビーブームと重なる出生率の高さから第2次ベビーブーム後に減速し始めます。私は第2次ベービーブーマーですが、このような推移を良く見てみると「あれっ第3次ベビーブームがない!」と気づいてしまいます。高度経済成長後のバブル崩壊や継続的な景気後退、そして個人の生き方として働き方や考え方など多様になっていったなどの要因があると思いますが、とにかく社会的にもじわじわジャブ的に受けてきたように出生率の低下による人口減少の兆しに関して、我々は薄々このような状況になることに気づいていたのではないでしょうか。
注目したい点は『未来の年表』著者の河合雅司氏が指摘するように合計特殊出生率の「1.00」から「1.99」の違いです。出生率は「2」以上にならないと人口を維持することはできず、出生率が「3」台にならないと人口増加は望めないそうです。「2」以下での「1.99」か「1.00」の間の違いは人口減少する速度だけなのだそうです。
河合氏はそれに付随して大学についての問題を提示しています。少子化ということは大学入学に当たる18歳の人口も減ることになります。2027年から人口は更に減少し、年間出生数は100万人ほどであってこの子どもたちが18歳になるころ2032年(書籍が2017年発行)には100万人を切るとのことです。そして、進学率50%と仮定すると10万人の減となり1000人規模の大学が100校も消滅すると予想されるそうです。このことから「選り好みしなければ誰でも大学生になれるのである」または小規模大学のなりふり構わぬ学生獲得策によって「建学の精神」も「特色ある教育」もなくなると警笛を鳴らしています。ここまでくると大学に携わる人間としては、このような状況には黙っていられない、何かやってやろうではないかと思ってしまいます。
確かに大学入学生獲得策として国内の18歳対象だけでなく外国の学生を招くことも一つですし、リスキリングや学び直しの促進による社会人や定年後の方々を受け入れやすくしていく。例えば放送大学、サイバー大学、それに立教大学セカンドステージ大学のような多様な学ぶ場が出てきていることは素晴らしいことだと思います。
一方でOECDが示す諸外国の大学入学平均年齢で一番低い平均年齢18歳が我が国日本となっています。一番平均年齢が26歳で高いインドネシアや諸外国に比べるとまだまだ社会を経験してから学ぶ、そしてセカンドステージとして就業後に学び直すといった「文化」が定着しているかといったら大手を振って「はい!」とは言えないのかも知れません。
ここからは私の妄想的展望で述べますが、真剣に考えてもいることを記します。以前新聞の記事で米ジョージタウン大学には数千人のパートタイム学生がいることを知り「やはり大学の規模や学ぶ人の意欲が凄いな」と感じていました。改めて調べると2022年の段階でジョージタウン大学では総学生数が20,984名でその内のパートタイム学生が5,522名で総学生の26%がパートタイムで学んでいることになります。「凄いな!」で終わらせないためにはTAPを活用できないか?と思っています。
TAPセンターは今年で25周年を迎えます。それには様々な人との関りがありました。プログラムに参加してくださった方々、体験を通じて学んでいった児童、生徒、学生たち、さらにインターンとして共にTAPを盛り上げてくださった方たちなどとの人的ネットワークの構築があったと思います。
さらに、現在TAPセンターではリーダー資格を現役学生対象に取得を促進しています。さらなるTAPの普及やファシリテーターの増加や様々な学生獲得を目指していくにはこのリーダー資格が得策にならないかと考えています。資格取得には「ファシリテーションⅠ」、「ファシリテーションⅡ」という授業を終了し、さらに最終試験に合格しなければ取得できません。これまで現役学生だけに実施していましたが玉川大学卒業生を始め(現役の時にはこんな資格がなかったので今から学びたいという人)、社会人でアドベンチャーファシリテーションに興味があり資格を目指したい(企業研修などで様々な方達と関わらせていただきネットワークを築いてきました)という方々に玉川大学の全人教育も含めてパートタイムでもTAPを学べる場を設けることができないだろうかと考えています(全く大学の制度などを無視して勝手に妄想しているだけです)。
現役学生だけでなくOBOGや社会人といった方達が玉川教育やTAPに触れながら、またファシリテーターとして社会で活躍してもらいます。資格所得後にはファシリテーションのブラッシュアップの機会やスキルアップ制度を設けて継続してTAPセンターのプログラムに協働参加してもらいながら学べる柔軟なシステムを構築することで、相乗効果が得られ社会に影響を与えるのではないかと考えています。
そう、私が高齢者になる頃には巷には高齢者ファシリテーターで賑わい(2040年には高齢化率34.8%でリーダー取得したファシリテーター率が???)、そこいらで高齢者同士や若い者に向けてアクティビティを展開していることでしょうね(腰痛や転倒には気をつけようと思っています。しかし最近攣りやすい。。。アクティビティや課題解決なんて認知症予防にもいいはずです。)。
前記しましたが、これから人口が減ってさらに高齢化し、超超超少子高齢化社会に突き進んでいくでしょう。しかし人口減少をネガティブに捉えるのではなく、今までTAPを体験して巣立っていった学生とさらにその方達が広げてくれたネットワークから総人口内のTAP人口、つまりTAPファシリテーター出生数を増加させることができるのではないでしょうか。「国民のTAPファシリテーター率の推移」みたいなデータが内閣府や総務省に加えられたりして。。。まずは人口減少をポジティブ捉え、将来の大学を活性化させないといけないと真剣に考えています。
夢のような話しですがTAP人口の割合が拡大していくことによって「えっ?TAPリーダー資格知らないの?持ってないの?あなたやばくない?」という環境になっていくことを願って止みません。そのためには日々精進してもっともっと勉強してより良いファシリテーションを目指し、それには健康的な元気な高齢者ファシリテーターを目指さなければなりませんよね。
ところで夢は一画多いのですからこのような妄想的展望を夢と思ってもいいですよね!?
Shin
引用文献
- 日本経済新聞、「日本の総人口14年連続減 24年、55万人減り1億2380万人」、2025年4月14日
- 河合雅司、『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』、講談社現代新書、2017年
- 内閣府、「高齢社会白書」、https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2024/gaiyou/pdf/1s1s2s.pdf(2025年5月11日閲覧)
- 厚生労働省、「令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況」、2023年
- DATAUSA, Georgetown University, https://datausa.io/profile/university/georgetown-university#:~:text=with their applications.-, Enrollment,American Indian or Alaska Native.(2025年5月11日閲覧)
- OECD, Average age of new entrants at tertiary level, by level of education, Education at a glance 2017 OECD indicators, 2017
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