ColumnTAPコラム
共に育む学びの場-Jenniferワークショップ参加報告
光川 鷹
TAPセンターの指導スタッフによるコラムを毎月掲載していきます。
世界で活躍されている体験教育ファシリテーターJennifer Stanchfield氏(以下、Jen)のワークショップに参加してきました。Jenとはオンライン研修やメールでのやりとりはありましたが、今回ついに初めて対面での「Jenワールド」を体験できる機会となり、胸の高鳴りを抑えられませんでした。ここでは、9月15日に開催された体験教育全般に焦点を当てた回の様子と、その後に行ったTAPメンバーでのオンライン振り返りの一端を共有します。
1.ワークショップの様子

午前の部では、プログラムデザインをテーマに2人組での対話が中心的でした。「ウェルカムアクティビティをどう考える?」、「少人数対話での適切なグループサイズとは?」など問いを通して参加者それぞれの考えが引き出されていきました。そこで繰り返し浮かび上がったキーワードが 「選択(choice)」と「主体性(ownership)」。学びをデザインする上で、参加者が自ら選び取ることの大切さを再認識しました。また、学習者の心をつかむうえでメタファー(比喩)にも着目しました。非日常の場へ参加者を誘うと同時に、体験を日常につなげる“架け橋”としても作用していることに気づきました。これまでの私は「日常につなげる」側面ばかりを意識していたため、発想を広げる機会となりました。

午後の部では、グループサイズが少しずつ拡大しながら、チームタリー(複数あるテーマについて話し合い、得点を獲得する活動)やカテゴリー(お題に対してグループを作り、集まる活動)を体験。その後、3枚のポストカードを用いて、ワークショップを通じたプロセスをグループ毎に意味づけていきました。この活動の様子が右の写真ですが、私たちのグループは3枚に絞りきれず、“3ブロック構成”として発表。これに対して、Jenは「それぞれのグループがクリエイティビティを発揮することが大切」とコメントし受け容れてくれました。他のグループは、3枚のカードでまとめられた発表をし、私たちのグループメンバーは驚きを隠せなかったでしょう笑。最後に、Have you ever(お題に該当する人は他のスポットマーカーへ移動する活動)で体を動かし、未来の自分へポストカードにメッセージを記入後、終了となりました。心も頭もいっぱいに満たされる有意義な時間でした。
2.オンライン振り返りでの主なポイント
① 居心地の良さと対等な関係性の構築
Jenは解説で場をコントロールするわけではなく、参加者の声に応じるスタイルを貫いていました。そこに生まれるのは、“心地よさ”と“対等な関係性”。また、選択肢のある場づくりと、工夫や遊び心による余白が、学びを自ら選び取る感覚を育てることを実感しました。静的な振り返りだけでなく、動きを伴うアクティビティによる振り返りが学びを躍動的にしていることも印象的でした。
② ファシリテーターの成長過程や学び方について
Jenの実践からは「試行錯誤しながら自分なりに学びを深めること」の大切さを再確認する機会となりました。おそらく、ファシリテーターを目指すうえでの学び方には「実践先行型」や「概念先行型」など様々な方略があり、まず自分のスタイルを知ることが成長の一歩になるのではと感じました。Jenにとっての体験教育観やファシリテーター観も、実践の積み重ねから形成されたものであり、心理学や脳科学はその実践を補強するエビデンスの役割を果たしているのだと理解しました。
③ メタファーを活用した振り返りの効果について
非日常と日常をつなぐ“かけ橋”としてのメタファーは、学習者に「自分なりの意味づけ」を促すのだと感じました。缶バッジやポストカードといったシンプルなアイテムが、選ぶ人自身の状態や解釈を映し出し、学びを個別化していく。(缶バッジの英文や和文には理由がある)改めて、意図的に工夫されたメタファー活用の効果を実感しました。
3.最後に
今回のワークショップは、居心地よさと遊び心にあふれていて、学びを“ぐっと”引き出してくれるものでした。得られた学びはTAPの実践にも多くの示唆を与えてくれるものであり、自分たちの現場でどう生かしていけるかを考える貴重な機会となりました。
そして何よりも、共に学びを深めてくれる仲間の存在、そして今回のワークショップで出会えた仲間たちへの感謝を強く感じています。出会いやつながりがあるからこそ、学びはより豊かになっていくのだと実感しました。この度の学びとネットワークを大切にしながら、私たち自身も試行錯誤を重ねつつ、アドベンチャーの未来に発展的に貢献できる道を探していきたいと思います。

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