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US科目「フィールドワーク」野外体験教育プログラム
冬季演習実施報告(村井伸二)
みなさま、先日行われましたTAPセンターシンポジウム「学校教育でのファシリテーション」にご参加くださり、誠にありがとうございました。
シンポジウム開催の1週間ほど前、毎年恒例の「野外体験教育プログラム冬季演習」を実施いたしました。今回はその報告を兼ねて、なぜこの最も寒い時期に、わざわざ「自然体験活動」「野外教育」「環境教育」「持続可能な社会」といったキーワードを掲げて演習を行うのか、そしてそれが「学校教育」と「ファシリテーション」にいかに関係するのかをまとめました。ぜひご一読ください。
【概要】
日程: 2026年2月25日(水)~3月1日(土)
場所: 弟子屈農場 美留和晴耕塾および近隣エリア、釧路・網走周辺
参加学生: 11名
(教育8名、芸術1名、農1名、リベラルアーツ1名)
(3年生3名、2年生4名、1年生3名 / 男性6名、女性5名)
【行程】
1日目: 羽田発―釧路空港着。釧路駅周辺の散策・昼食後、摩周へ移動。食材調達を経て美留和塾着、夕食、施設オリエンテーション。
2日目: 酪農体験(牛舎説明、清掃、餌やり)、施設説明、摩周湖・道の駅見学。夕食後、振り返り、星空観察。
3日目: 酪農体験、演習林での環境教育講話、スノーシュー体験。昼食後、屈斜路湖(和琴半島・砂湯)見学。夕食、振り返り。
4日目: 酪農体験、施設作業体験(ゴミ処理場見学、薪割り)。昼食後、硫黄山見学、川湯温泉入浴。夕食、振り返り。
5日目: 美留和塾退所。貸切バスにて網走監獄見学。昼食後、女満別空港より羽田へ。
【Shinからの所見】
昨年に続き気温の高さが際立ち、2月中旬までの積雪が雨と気温上昇で消失、残雪が硬化している状況でした。東京にいると単なる「気温の変化」としてしか捉えられませんが、寒冷地では雪の少なさが顕著であり、改めて地球温暖化や気候変動の影響を肌で感じることとなりました。それでも学生たちは、都心では見ることのできない広大な雪景色に触れ、終始活気に満ちていました。
本演習の事前授業(玉川大学内)では、TAP(仲間づくり)や農場での箸づくり、学内プラネタリウム(スターレックドーム:農学部 佐治量哉先生のご指導)での星座観察を実施してきました。現地(弟子屈)では、実際に牛の世話をし、白銀の野をスノーシューで歩き、満天の星空を眺めることで、学内での学びと現地での体験の「相違」を実感したはずです。
また、川湯エコミュージアムでの講話や硫黄山見学、温泉体験を通じ、自然環境を活用して生きてきた人々の歴史に触れられたことも大きな収穫です。晴耕塾という恵まれた環境での自炊・共同生活は、集団生活の難しさを学ぶ一方で、暖炉の火を眺める時間や雪原を一人で歩く時間など、都会では得られない「自分自身と向き合う時間」となりました。 酪農体験(牛3頭)では、清掃や餌やりを通して、命を育てる手間や費用の重みを実感し、過酷な環境で施設を運営する指導員の方々の逞しさに、学生たちは深い敬意を抱いたようです。
今年度も高城先生(文学部)のご協力による「BEVI調査」に加え、「毎日のダイアリー(振り返り)」を継続しました。これらを通じて、本演習が学生の価値観や生き方にどのような影響を与えたかを詳細に分析したいと考えています。弟子屈という「場の教育」が持つ成果を、今後の学生生活に活かしてくれることを期待しています。
最後になりましたが、本演習の実施にあたり多大なるご協力をいただいた農学部の横倉啓先生、金子貴一先生をはじめ、関係諸先生方に深く感謝申し上げます。
シンポジウム掲示板より(学生スタッフ掲示室に掲出した内容をまとめた再録です)
「なぜ学校教育に、自然体験・環境教育・野外教育、持続可能な社会そしてアドベンチャー教育が必要なのでしょうか? また、なぜその体験を支援する『ファシリテーター』が必要なのでしょうか?」
1. 自然体験と学校教育の深いつながり
国立青少年教育振興機構には全国28の国立施設があります。データがないので仮説の計算ですが、各施設に所属する(施設に近隣する県からの人事異動)教育委員会から2〜3年任期で多くの教員が出向しています。過去50年間で推計すると、延べ1,000人近い教員がこれらの施設で実践を積んできた計算になります。これほど多くの教員が現場に関わっていることからも、自然体験が学校教育においていかに重視されてきたかが分かります。全国1000人の先生は自然を活用した教育ができる術をもっているのです!
2. 学習指導要領における位置づけ
「アドベンチャー教育」という言葉自体はまだ学習指導要領に明記されていませんが、その要素(自然体験活動、野外教育、環境教育、持続可能な社会)は各教科に組み込まれています。
・理科: 自然の事物・現象への親しみ、生物愛護、環境保全。
・社会: 持続可能な地域社会の形成、環境保全。
・特別活動(行事): 集団宿泊活動を通じた人間関係形成と公共心の育成。
いつか学習指導要領に「アドベンチャー教育」が明記されるよう、TAPとしても活動を続けていきたいと考えています!
3. なぜ「ファシリテーション」が必要なのか
指導者が「教える(ティーチング)」のではなく「促進する(ファシリテーション)」ことが求められる理由は3点あると考えます。
1.体験を「経験」に変える(内省の促進): 「楽しかった」だけで終わらず、リフレクション(振り返り)を通じて学びを具体化します。これにより、体験が概念化され、日常生活で応用可能な「力」へと転換されると考えられます。
2.心理的安全性とチャレンジの両立: 「Full Value Contract(互いの価値を尊重する)」「Challenge by Choice(自分で選択し挑戦する)」を成立させるには、失敗を許容する集団作りが不可欠です。ファシリテーターの関わりが、リスクを恐れず一歩踏み出せる心理的安全性といった環境が整えると思います。
3.合意形成と民主主義の育成: 正解のない問いに対し、多様な意見を引き出し、合意形成を図るスキルは、まさに「主体的・対話的で深い学び」ではないでしょうか。この積み重ねはいずれ民主主義を担う人材育成に直結するのではないでしょうか。
TAPセンターでは、こうした体験を支援できるファシリテーターの育成に力を注いでいます。玉川学園・大学の教育的財産と雄大な自然を活用し、この冬季演習を継続する理由もそこにあるのですね。
最後にこの場を借りてTAPセンター学生スタッフの4年生へ
本当にご卒業おめでとうございます。ほとんどの学生がこの冬季演習に参加してくれました。つまり、自然環境で生活する厳しさ、そこで生活する術を知る重要性、何しろ雄大な自然環境や人間の営みに長い長い歴史と共にものごとの積み重ねがあること(幾度となく起こる噴火などから)、その土地で人と自然、そして文化が形成されていこと、そして自然の中で活動する「かっこよさ」を今もみなさんは覚えてくれているでしょう。そんなみなさんなら何処でもどんな環境でも対応できる人間だと信じます。
「自ら道を選択し、人生を切り開く人になれ!」本当にありがとうございました。後輩たちよ、続け。Bon voyage!








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